このような話しを私にしてくる皆さんは、実際に、利用者の方に真剣に接している方々だと思っています。
だからこそ、妥協なく仕事をしながらも、今の福祉職の先行きの不透明さ(給与面での自分自身の生活や、離職率の多さ)に対する不安や、一生懸命やればやるほど自分の理想から乖離していくというジレンマもあり、私にも話しをしてきてくれるのでしょう・・・。
熱く、しかも私を試すような好奇心の目で話されると、つい目をそらしたくなる気持ちもあります・・・。こんな時、私は「利用者に対して自分が大切に接しているか云々・・・」というような話しはしないようにしています。
なぜなら、「一人ひとりを大切に接しない」などというスタンスを最初から持っている人など誰もいません。
大切なことは、個人の考え方や資質で論じるだけでなく、専門職としての理念を醸造していくための仲間や、時間や、専門職としてこの仕事を継続できる生活基盤を確保することが大切だと思っているからです。
今、介護保険制度に携わる専門職の人材不足について、介護保険制度改正に向けての話し合いで論じられていますが、これについては、自分も大変興味を持って、動向を見つめています。
専門職が、自分の専門性を自覚し、自分の仕事に誇りを持ち、向き合うことのできる環境を創ることが、皆さんが表現する言葉であえて言うと、一人ひとりを大切に接することができる専門職が多く生まれることにつながるのだと思います。
自分自身が、どんなに利用者の権利に立ち、専門職として接していっても、一人の力では、50人~80人が限度です。
地域に専門職としての経験を重ねる方々が多く生まれなければ、本当の意味での一人ひとりを大切にすることなどできません。
専門職が事業所を越えて連携しあう、影響を受け合う、夢を語り合う・・・。この仕事を誇りを持って継続していく人たちが増えていく・・・、そして、その人たちを新しい人たちが目指していく・・・。
利用者一人ひとりを大切にするということは、その人に関わる専門職を集団として高めていくことだと思います。
介護保険制度が誕生して8年が過ぎました。そろそろ、この制度を支える専門職に、この仕事をしている本当の意味での誇りを持つための土台を、強く、太くしなければいけないのではないかと考えています。
大きな海に出て行こうとするからこそ、進む道を示してくれる羅針盤が必要なんです・・・
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テーマ: 地域包括支援センターの話
ジャンル: 福祉・ボランティア